CIS諸国とは？ 旧ソ連の「その後」を理解するキーワード
「CIS諸国」という言葉、ニュースや国際情勢に関する話題で耳にしたことがあるかもしれません。でも、「具体的にどこの国々を指すの？」「 CIS って何の略？」と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、この「CIS諸国」について、その成り立ちから加盟国、そして現代における重要性まで、わかりやすく解説していきます。
CIS とは？ その誕生の背景
CIS は Commonwealth of Independent States の略で、日本語では「独立国家共同体」と訳されます。
この共同体が誕生したのは、1991年末のこと。長らく東西冷戦の二極体制を築いていたソビエト連邦（ソ連）が、予想外のスピードで崩壊したことがその背景にあります。
エリツィン大統領率いるロシア、クラフチュク大統領率いるウクライナ、シュシュケビッチ議長率いるベラルーシの3カ国が、「ソ連はもはや存在しない」という認識のもと、新たな協力関係を築くために集まりました。そして、1991年12月8日に、ベラルーシのベロヴェーシの森で「ベロヴェーシ合意」が締結され、CIS の創設が宣言されたのです。
当初は、ソ連崩壊によって独立した共和国たちが、経済や安全保障、外交などの分野で協力関係を維持し、平和的な移行を円滑に進めることを目的としていました。
CIS 加盟国はどこ？
CIS 諸国は、ソ連を構成していた共和国のうち、多くが加盟しています。しかし、加盟、脱退、オブザーバー参加など、その状況は変化してきています。
現在の主な加盟国は以下の通りです（2023年時点、状況は流動的です）：
ベラルーシ
ロシア
カザフスタン
キルギス
タジキスタン
ウズベキスタン
かつて加盟していた国々や、現在オブザーバー参加している国々もいます。
ウクライナ: 2018年に脱退を通知し、2023年現在、法的な脱退手続きが継続中です。
モルドバ: 加盟していますが、一部で脱退の動きもあります。
アゼルバイジャン: 加盟していましたが、2011年に脱退しました。
アルメニア: 加盟していましたが、2023年2月に脱退を通知しました。
トルクメニスタン: 加盟していましたが、1991年以降は「準加盟国」としての地位をとっています。
ジョージア: ソ連崩壊後に加盟しましたが、2008年のロシア・ジョージア紛争を機に脱退しました。
このように、CIS は参加国の出入りがあり、その関係性も一様ではありません。
CIS の主な活動と機構
CIS は、加盟国間の協力関係を維持・発展させるために、様々な分野で活動しています。
経済協力: 自由貿易協定などを通じて、加盟国間の経済的な結びつきを強めようとしています。
安全保障: 集団安全保障条約（CSTO）などの枠組みを通じて、加盟国の安全保障協力を図っています。
文化・人道協力: 言語や文化の共有を活かし、教育や科学、人道分野での協力も行われています。
政治・外交: 定期的な首脳会議や閣僚会議を通じて、共通の課題について協議しています。
CIS の意思決定機関としては、国家元首評議会、政府首脳評議会、外相評議会などがあります。また、執行機関として執行委員会（現CIS執行書記局）が置かれています。
CIS 諸国を理解することは、なぜ重要なのか？
CIS 諸国は、旧ソ連の広大な地域に位置し、豊かな資源と戦略的な重要性を持っています。この地域を理解することは、現代の国際情勢を読み解く上で非常に重要です。
地政学的な重要性: ロシアを中心に、中央アジア、東ヨーロッパに広がるこの地域は、欧州、アジア、中東を結ぶ要所です。
エネルギー資源: 原油、天然ガス、鉱物資源など、重要なエネルギー資源の産出国が多く含まれます。
国際紛争: この地域では、民族問題や領土問題に起因する紛争が散発しており、国際社会の関心を集めています。
ロシアの影響力: ロシアは CIS 諸国において依然として大きな影響力を持っており、その動向は地域全体、さらには世界情勢にも影響を与えます。
まとめ
CIS 諸国は、ソ連崩壊という歴史的な出来事から生まれた、加盟国間の協力関係を目的とした共同体です。加盟国やその関係性は流動的ですが、旧ソ連という共通の歴史を持つ国々が、経済、安全保障、文化などの分野で連携を図っています。
この地域は、地政学的な重要性、資源の豊かさ、そして潜在的な不安定さから、今後も国際社会から注目され続けるでしょう。CIS 諸国というキーワードを理解することで、より深く国際情勢を理解する一助となれば幸いです。